車載クーラーの設置

車載クーラーの設置へ

このキャンピングカーにはエンジンからの動力で作動する通常の運転席と後部居室のクーラーはあるが、もちろんエンジン停止時には使用できない。従って、駐車時、車中泊時にクーラーが欲しい6月~9月の旅行は辛いものがある。今までは、その季節の旅行は北海道や1,000m以上の高地に旅行したりしていたが、根本的な解決策として「エンジン停止時でも使用可能なクーラーを装備すればよい」という事はわかっていた。
方法として、
1)ポータブルクーラーを購入し、その時期の旅に持参する。
2)家庭用クーラーを購入、取付ける。
等が考えられるが、1)は、その電源を何処からとるかや熱せられた排気を車外に排出する方法が難しい。2)は家庭用クーラーは4万円台でも購入可能な安価な製品もあるが、電源が100Vに限られ現在装備のインバーター電源を使うのは効率が悪いのと、室外機が大きく適当な設置場所がない。また、webで調べるとDIYで設置した方もまれにあるようだが、配管加工などのハードルが高い。
このような理由で今までクーラー設置をあきらめかけていたが、ある時アマゾンで12V車載用クーラーを販売しているのを発見、webサイトやユーチューブ動画でDIY取付けの例がいくつも掲載されている。
この12V車載クーラーは家庭用のものに比べて室外機がかなり小さく私のキャンピングカーのユーティリティルーム(簡易トイレを入れている)にも何とか設置でき、他の方がやっているような室外機を床下に設置し床を貫通する冷媒配管をしなくても比較的簡単に配管できそうだ。問題は価格が家庭用よりも高く、中国製だからか送料が24,000円、総額75,000円と高く、12V駆動だが、現在装備している鉛バッテリー100Ah×2台を交換する必要があることだ。また、クーラーでは初期設置で配管内の水分を含んだ空気を抜く「真空引き」の作業をしなければならない。
いろいろと検討した結果、見通しが立ったので、DIYで車載クーラーを購入、取付けることとした。

サブバッテリーの交換

現在搭載しているサブバッテリーはそれ以前と同じ仕様の物と交換した「鉛バッテリー」で容量100Ahを2台、200Ahを装備しているが、既に2年半が経ち、搭載している電子レンジの使用にも容量不足気味で、交換を検討していた。鉛バッテリーは安価だが特性として、寿命が短い(約3年)、重量が重い(現在の100Ah容量で約20kg)、放電に伴って電圧が降下し60%容量時にはインバータの保護回路が作動して100V電源がストップする、などの欠点がある。一方、現在キャンピングカーへの搭載が増えている「リン酸鉄リチュウムイオンバッテリー」は、高価(鉛バッテリーの約4倍)だが、寿命が長く(約10年)、重量が軽い(100Ahで約10kg)。また放電特性が容量80%以上まで12V以上の電圧が保たれるため、実質的な使用電力量が鉛バッテリーに比べてかなり増える利点がある。
検討した結果、100Ah容量を2台購入し、現在の鉛バッテリーと交換した。

左側は、以前の鉛バッテリー。右は今回設置した「リン酸鉄リチュウムイオンバッテリー」。大きさはほぼ同じだったので、以前のスペースにそのまま収まった。

充電電圧の設定変更

サブバッテリーを鉛バッテリーからリン酸鉄リチュウムイオンバッテリーに交換した後に充電電圧の変更作業が必要なことがわかった。つまり、鉛バッテリーは動作電圧12V、充電電圧は13.9Vだが、リン酸鉄リチュウムイオンバッテリーは動作電圧12.8V、充電電圧は14.4Vと鉛バッテリーより電圧が高い。従って、鉛バッテリーの設定のままで充電してもバッテリーが満充電にならない可能性が高い。
私のキャンピングカーは充電方式として走行充電、外部充電、ソーラー充電の3方式が併用されている。

ソーラー充電は左写真のような充電コントローラが設置されており、メーカに問合わせると「現在のコントローラはリチュウムイオンバッテリーに対応していない」との事だったので、買い替えて、リチュウムイオンバッテリー対応のものに交換した。

走行充電と外部充電については、座席下に設置してあるバッテリーチャージャーの充電電圧設定を変える必要がありそうだ。
クーラーを試運転後、外部充電で満充電を試みたが、90%以上には充電量が達しない。
webサイトで調べると左写真のバッテリーチャージャーの側部(写真上側)に設定変更のディップスイッチがあるらしい。ただ手が届かず、直接見ることもできない。スイッチを変更するのに機器を外すのはほぼ不可能に思えた。苦肉の策で、小さな鏡をセットし、精密ドライバの先でスイッチを変更したが、鏡を見ながらの操作は大変だった。

その後、走行充電、ソーラー充電の双方とも満充電できるようになった。

12V車載クーラーの注文

アマゾンで車載クーラーを注文する。納期は2週間後とのことだったが、1週間で1個の荷物が到着した。開梱すると室内機のみが入っている。アマゾン経由で注文先に問合わせると2個口で送っているとのこと。相手は中国だが、問合せに対するリアクションは早く、安心感はある。

翌々日にもう1つの荷物が届き、室外機の他冷媒ホースなど部品一式が入っており、全てが届いたようだ。

クーラーのDIY取付

室外機への冷媒ホース接続は低圧側はケース外側より簡単に接続できたが、高圧側はケース内部にあり、接続が困難。
ケースの上部はネジ止めなので簡単に外す事ができ、高圧ホースの接続も無事に完了。

室内機はコンパクトで軽量。
棚から支持用の板を取付け、それに室外機を木ネジで止め、室内機取付けは簡単に終了した。
冷媒配管は室外機を設置するユーティリティルームとの壁に直径5㎝程の穴をあけ、制御ケーブルと共に通した。冷媒ホースの取付け口には付属の結露防止テープを巻く。室内機からの排水は使用時に窓から外にホースを出すこととした。

ユーティリティルームに室外機を仮置きしてみる。案外うまく収まりそう。
クーラー稼働時は外部への扉を開いてファンからの熱風を外に出すことにし、ファンの位置が扉部分に高さが合うよう、室外機の土台を製作、固定することとした。

冷媒ホースは長さ3mと余りが出るので、結束バンド円形にまとめ、壁に固定した。室内スペースはぎりぎりではあるが簡易トイレも無事に収まった。

外部への扉は上下2分割とし、クーラーを使用するときは外気との温度差で、クーラー始動時のフル稼働時は上部の扉も開いて外気が入りやすいように、室内が冷えて定常運転に入ったら上部の扉は閉めるようにした。

さて、当初から問題だった「真空引き」(クーラー初期設置時、冷媒ガスを注入する前に配管や機器内を真空にして空気に含まれるゴミ・水分を取り除く作業)をどうするかだ。webで調べると、1)真空引きに必要な「真空ポンプセット」を購入あるいはレンタルし、自分で真空引き作業をする、2)業者に真空引きを依頼する、の方法がある。最初の真空引き後には必要のない「真空ポンプセット」購入は実際的ではなく、調べても「真空ポンプセット」のレンタルは価格が高く付属品が揃っているかが心配だ。真空引き作業を業者に依頼することとし、最初にホームセンターで家庭用エアコンの設置業者に連絡を取ってもらったが、家庭用と今回のような車載用では配管部の取付けサイズが異なり、作業できないとのこと。
最終的に自動車用電装品を取扱う専門店を修理工場で紹介してもらい、そこに出向いて「真空引き」作業と冷媒ガスチャージまでやってもらった。
試運転の結果、十分に冷えた空気が室内機から出てきて、それまでの苦労を考えると感動ものだった。

サブバッテリの増設

 クーラーは順調に作動し、何回かの旅では暑い中でも快適に車内で過ごすことができた。ところが2023年夏は異常気象のため、9月になっても連日の真夏日(30℃以上)、夜になっても熱帯夜で25℃以下にならない。RVパークなどで外部電源が得られる場合は良いが、現在のサブバッテリー容量(200Ah)ではクーラー運転時間は4時間程度しか持たない事が判明。真夏の旅行は1500m以上の高地で宿泊するか、春秋の旅行に限定するかという事もあるが、そのストレスも考えた末、サブバッテリーの増設の道を探ることにした。

 現在の100Ah×2の並列接続をもう1台100Ahを並列増設し、容量が足りるかをその後考えようかと思ったが、現在設置しているZOOMSのサポートに問い合わせると、特にリチュームイオンバッテリーの並列接続の条件として、同メーカーの同容量、同時期に購入したものでないと、バッテリー間に循環電流が発生し、せっかくのリチュームイオンバッテリーの長寿命が著しく損なわれるとのこと。私の場合は前回の購入設置から1年以上経過しているので、並列増設は不可能との事。困った問題だ。こうゆう場合には解決方法をWebで調べるに限るが、その結果わかったのは、現在の100Ah×2台のシステムと回路を分けて増設し、切り替えて使うのがベストのようだ。さて容量をどうするかだが、せっかくならもう1つのシステムも200Ahの容量にする方が使いやすそうだ。ただ問題は価格だ。200Ahとなるとバッテリーだけでも8万~10万の値段になる。そのうちにアマゾンの秋のユーザ感謝セールで、現在はブランド名がREDODOになった以前のものと同等仕様の製品が20%OFFになるという。以前と同じ組み合わせで100Ah×2台を約\82,000円で購入。ケーブルや切替ロータリースイッチ等も購入して、キャンピングカーに設置、配線した。

右側はキャビン座席下に設置していた100Ah×2台並列接続のシステム、そして左側のちょうどよい空きスペースに新設の100Ah×2台並列システムを設置した。

システムの切換えにロータリースイッチを設置し、1および2のシステムの切替え、両バッテリーシステムの切離し、4台のバッテリー全ての並列接続(循環電流発生の恐れがあるので通常は使用しない)の選択が可能になった。ただ、プラス側の充電及び負荷の配線は7本近くなりロータリースイッチの端子にはとても結線できる数ではないので、L型金具にボルトを固定して集中的に結線した。(右写真の右側)

 また、今後の12V機器の増設のために電源ターミナルを設置し、簡単に電源配線を接続できるようにした。

シェアする
moritasanをフォローする
もりたさんちの趣味工房