プロローグ
2016年7月にリタイア後、海外旅行は2017年にカナダ・アメリカ旅行の後2年が経過した。年齢も69歳が近づき残すはスペイン旅行と思い、手ごろなツアーを探していた。スペインは人気があり比較的ツアー料金も高い。冬場は料金が安いが1月や2月の寒空に行ってもと思っていたところ、3月ごろ新聞広告で「JTB旅物語」スペイン7日間ツアーが目についた。ベストシーズンの6月でも燃油サーチャージ込みで21万だ。
バルセロナ、バレンシア、グラナダ、コルドバ、マドリッドの5都市の宿泊、マドリッドではデラックスクラスのホテルとある。サクラダファミリア教会、アルハンブラ宮殿の入場観光も当然含まれている。ツアー価格が安過ぎるのがむしろ気になったが、即webで申し込みをした。
スペインはサクラダファミリア教会、アルハンブラ宮殿は海外旅行番組などで親しみはあるが、その他の観光地や文化等はまるで無知、出発まで3か月あるので図書館などでガイドブックを読み漁りながら勉強することとし、6月の出発を迎えた。
6月5日(第1日)成田→パリ→バルセロナ
今回は成田出発、集合時刻が8時30分と比較的早い時刻なので、旅行社のサービスで付いていたスーツケース宅配サービスを利用して当日は手荷物のみを持って出発し、楽チンだった。
今回のフライトはエールフランス、パリ経由のバルセロナだ。パリまでは12時間の長時間フライト、当然の事ながら事前チェックインはできないので座席位置が心配だったが、かみさんとは隣席で1人は通路側で安心した。機種はボーイング777-300、エコノミーは3+4+3の席並び。前後間隔はまあまあだが幅が狭く感じた。体型豊かなユーが隣だったらしんどそう。 機内食の写真は撮り忘れたが、たしか和食は「メバルの唐揚げ」だったかな?まあまあだった。映画はけっこう日本映画や日本語字幕の洋画が充実していた。「万引き家族(Shoplifters)」は機内サービスで見る程度で十分だった。安藤さくらはこっちのほうがぴったり。通路側はトイレに行くのも楽で、正解だ。今回のフライトで感じたのは上空に上がると意外と機内は寒く、毛布をかぶって何とか凌いだが、今までこれほど寒く感じたとこはなかった。年をとったせいなのか…。
パリ、シャルル・ドゴール空港に到着。ここも以前アラスカ旅で乗り継いだシカゴ、オヘア空港と同じく大空港だ。そして到着ターミナルと次の乗継ターミナルは大空港の端と端。乗り継ぎ時間があまりなく、足早に歩く。しかし出発ターミナルに着いてみれば、飛行機は予定の約1時間遅れ。ここでは特に買い物の予定もないため、ウィンドウショッピングで時間をつぶす。
パリ→バルセロナは約2時間。短いので機内サービスはなしかと思ったら、以外にも軽食+飲み物のサービスあり。今回はサンドイッチと赤ワインをいただいた。 そうこうする内にバルセロナ上空に近づく。今回は窓席だったので、上空からのバルセロナを撮影。
バルセロナへ到着。現地時間は20:30ころだが、まだ空が明るい。 空港内でも売店には生ハムがあり、これで一杯やっている人もいる。
今夜のホテルはACホテル・ソム。 「旅のしおり」ではバスタブなしのシャワーのみの部屋と記載してあったが、実際はバスタブもあり、部屋の広さもまずまずのシティー・ホテルタイプで快適だ。
6月6日(第2日)バルセロナ→バレンシア
朝食時間は私たちのグループのみだったので、ゆっくり楽しめた。内容もハム、チーズ、スペイン・オムレツありで充実している。ツアーガイドが言っていたが、私たちの前のコリアン・グループはジュースなどの飲み物を持参の水筒にごっそり入れて持ち帰り、ホテルの従業員がカンカンに怒っていたとの事。かち合わなくて良かった。
朝食後、バスで市内に出る。
右はカタルーニャ美術館。
カタルーニャ音楽堂
スペイン独特のモデルニスモ建築の代表、モンタネールの最高傑作。現在もコンサートホールとして使用されているとの事。
街中には、祭用のお面を売っている店もある。バスの広告ディスプレイも面白い。
アントニ・ガウディ建築のひとつ「カサ・ミラ」。曲線を強調しているのが特徴との事。
バスの車窓からのみの見学だったが、内部の住居スペースも見学可能との事。
サクラダ・ファミリア聖堂
言うまでもないアントニ・ガウディの最高傑作で今も建設が続いており、完成は2026年と言われているが、もっとかかるのではないかとの話もある。
これを見るのが、今回の私の大きな目的の1つだ。間近で見ると、その壮大さ、美しさ、構成の素晴らしさに圧倒される。建物の外側には「生誕のファザード」、「受難のファザード」などの其々の面に素晴らしい多くの彫刻があり、とても少ない時間では見切れない。 あまりの見学者の多さに、中に入るチケットが旅行出発前では確保できていないとの事だったが、さすがJTBの力なのか、スペイン到着時にはチケットがとれ、中に入る事が出来た。
内部に入ると、ドームの天井は高さ100m以上ありそうだが、それを数多くの柱が支えている。其々太さ、材質が違うそうだが、これを100年以上も前にどのようにして設計したのか見当もつかない。
左下は平面での柱位置の模型。 内部壁のステンドグラスは光の当たり方、色が当初から意図されているそうだ。
再び外に出て、「受難のファザード」を見上げる。 地下は「サグラダ・ファミリア博物館」になっており、設計時の模型などが展示してある。
「サグラダ・ファミリア教会」を後にし、バスで南に向かう。 実はこのツアーでスペイン入りの際に、1人のスーツケースが積み忘れと言うアクシデントがあり、昼食の前に空港に荷物を引き取りに行き、その後、地中海沿岸のタラゴナで昼食となった。
ランチはメインがパエリア。食前酒に「カバ」というスペインのスパークリングワインを試してみた。正に「シャンパン」スペイン版だ。ここでのパエリアは魚介類メインで左下の大きなパエリア鍋で作ったのを取り分けてくれる。
店を出ると、シーフードレストランが軒を連ねていた。 地下に入ってみるとソース付きのパエリアセットが約13ユーロ(約1600円)で売っている。実は2ヶ月ほど前に「肉のハナマサ」で同じものを見かけたが1500円だった。今度行ったら買おうと思う。
昼食後、一路バスでバレンシアへ向かう。
バレンシアで夕食前に中心地を散策。
セラノスの塔を抜け、ビルヘン広場の向こうはサンタマリア大聖堂だ。
散策と言っても時間はごく限られており、駆け抜け出の散策。現地ガイドなしなので添乗員の方も詳しい説明はできず、私は内容も殆ど覚えていない。右下はサンタマリア大聖堂の模型。
夕食はレストラン。 写真は前菜だが、メインはポークカツ。硬くてあまり美味ではなかった。
宿泊ホテルはバレンシア中心から少し郊外に出たところの「アラクアス」。 ビジネスホテル的だが、部屋はちょうどよい大きさで機能的。
6月7日(第3日)バレンシア→アルハンブラ宮殿→グラナダ
朝食バイキングはシンプルだが必要十分で満足。
ホテルの前には何という花かは誰もわからなかったが、ふじ色の花が満開だった。 バスは一路、グラナダ「アルハンブラ宮殿」へ向かう。
途中のドライブインのレストランで昼食。
「アルハンブラ」名付けられた地ビールを試す。コクがあって私好みの味だ。昼食のメインはイカ墨のライス。これも良い。 レストラン外のテラスは強烈な日差しで、気温はおそらく30℃以上と思うが、湿度が低いせいかさわやかだ。日陰で風があれば涼しいくらい。
山間の道路を抜け、グラナダの町へ近づいてきた。 遠くには上部には残雪があるシェラ・ネバダ山脈が見える。
アルハンブラ宮殿に到着。ここも混んでいるため出発までチケットの確保が確定せず、見学が危ぶまれていたが、無事、見学できることとなった。
スペインの各都市には、中心に王宮があり、周囲を川や塀で外敵から守られている構造が多いが、ここもグラナダ王国の首都であり、高台にあるアルハンブラ宮殿は周囲ぐるりをさらに高い塀で囲まれている。
「裁きの門」から中に入ると、イスラム国家がキリスト教徒からの攻撃に備えた「アルカサバの砲台」がある。 ナスル朝宮殿の手前には、カルロス5世宮殿があり、中には円形の中庭がある。
居住区の基礎跡が残る。 外壁からはグラナダの町が一望できる。
いよいよ「アルハンブラ宮殿」の心臓部、「ナスル朝宮殿」に入る。
右上はアルハンブラ宮殿の写真としてポピュラーな「水鏡に映し出されるコマレスの塔」
ライオン宮
ライオン宮の中庭と天井の飾りが見事な二姉妹の間
ナスル宮殿を出ると「パルタル庭園」
そこからしばらく歩き、「ヘネラリフェ」に向かう。
2時間以上かけた「アルハンブラ宮殿」見学だったが、2時間でもかなりの駆け足、ここだけでも本当によく歩いた。万歩計を持っていた人は3万歩を越えたと言っていた。
宿泊ホテルで夕食。ただバイキングの食事で、なんか朝食みたいな献立だった。
ホテルは「グラナダ・パレス」と言うだけあって、豪華で部屋も広い。 浴槽にはジェットバスまで付いていた。
夕食後、オプショナルツアーの「フラメンコショー」を見に行く。洞窟のような店内、フラメンコはまずまずだったのだが、昼のアルハンブラ宮殿見学で疲れ切っており、夕食のビールも効いて眠気をこらえるのがやっとのあり様。
6月8日(第4日)グラナダ→コルドバ
朝食は写真を見てもわかるとおり昨晩と同じメニューなので、朝食としては充実していた。違いはパンが加わった事か? 「グラナダパレス」、部屋も広いがプールもあれば中庭もある。どうせ泊るなら2連泊してゆっくり過ごし、別の日に「フラメンコショー」にして欲しかった。
バスは一路コルドバに向かう。 一面にオリーブ(手前)とブドウ(奥)の畑が広がっている
200km余りを走り、コルドバに到着。メスキータなどのユダヤ人街には大型バスは入れないため、下車して歩く。
約2000年前のローマ時代に造られた「ローマ橋」。川中には水車小屋の跡も残されている。
プエンテ門(橋の門)と城壁
ユダヤ人街を通って今日のホテルへ。ユダヤ人街には多くの土産物屋がある。
ホテルへチェックイン後、ホテル内レストランで昼食。メニューはガスパチョ(冷製スープ)とチキン。
昼食後、メスキータ(イスラム教とキリスト教が共存する世界最大級のモスク)を見学に行く。ここも見学者の列がすごいが、私たちは待つ事もなく入場した。
メスキータを説明してくれた現地人ガイドは残念ながら日本語がうまくなく、一生懸命説明してくれたが、内容はさっぱり分からなかった。 上の写真は、メスキータ全景模型と圧巻の巨大パイプオルガン。
メスキータの外に出るとミナレットと呼ばれる尖塔が見える。左の木々はオレンジだそうだが、食用ではなく、味は食べられるものではないそうだ。
ミナレットの上にはカップルが見える。高さは54mだそうだが、誰も登ろうとは言わない。
ユダヤ人街の迷路のような小道を散策する。 「花の小道」と呼ばれる路地。奥には土産物屋があり、振り向くと路地の向こうに先ほどのメスキータの尖塔が見える。
観光用の馬車が人待ち顔だ。
ローマ橋の端には「カオーラの塔」と呼ばれるローマ橋を守る要塞がある。 そこを抜けて対岸のレストランでの夕食。メインはカツだったが、あまり美味しくなかったのと話に夢中で写真は撮り忘れ、ようやく撮ったのがデザートのスイカ。
6月9日(第5日)コルドバ→トレド→マドリード
今日は古都トレドを経由しマドリードまで向かう。走行距離も400km以上になる予定。
朝の出発が7:00前になるので朝食はサンドイッチの配布となった。私たちは日本から持参したアルファ米のチャーハンも加えて朝食にした。 ブドウ畑の田園を過ぎ、ラ・マンチャ地方に入る。途中「プエルト・ラピセ」で休憩。ここは「ドン・キホーテ」の作者、セルバンテスが泊った旅籠が残っている。私はここでオリーブ・オイル、白ワイン、サフランを購入。
その後、ラマンチャの風車の村「コンスエグラ」へ。
村の丘の上には今は使われていない風車が5基見える。 風車の近くへ行ってみると、屋根から斜めに棒がかけられているが、これは風車の方向を変えるためのものだそう。
ブドウ畑をまたしばらく走り、昼過ぎにようやくトレドに到着。
ここは、「もし、1日しかスペインに居られないのなら、迷わずトレドへ行け」と言われるくらい有名な観光地、世界遺産にも選ばれている。 メンバーの大半はオプショナルツアーに参加、私達夫婦は唯一のフリータイムを楽しむべく、単独行動で街歩きに向かう。
旅行前に調べておいたバル「ラ・アバーディア」に入る。 カウンター席とテーブル席があり、私達はテーブル席へ。
なかなか注文をとりに来てくれない。隣席のスペイン人グループの一人が英語を話し、ウェートレスを呼んでくれた。
ウェートレスは英語を話せないようなので、「ドス・セルベッサ、ポルファボール」(ビールを2杯お願いします)。ガイドブックからのにわかスペイン語で注文する。メニューはスペイン語でよくわからない。ガイドブックからの料理写真コピーで生ハムとスペイン風オムレツを注文。しばらくしてきたビールにはパエリアの「お通し?」が・・・。バルなのでみんなタパス(小皿料理)かと思っていたが、料理が来てみると大皿(ラシオン)のようだ。 勘定がちょっと気になったが、生ハムは案の定16ユーロ(約2,000円)だったが、全部で29ユーロ(約3,500円)リーズナブル。良い経験になり、面白かった。
迷路のような路地を通ってソコドベール広場に戻る。写真右下の通りを走っているミニ観光バス「ソコトレン」に乗りたくてチケット売り場に行ったのだが、次のバスは2時間後の16:00だという。ツアーメンバーとの待ち合わせ時間は15:30なので間に合わない。「シェスタ」の習慣を忘れていた。
広場の路地奥のスーパーを覗いてみる。価格は案の定、驚くほど安い。生ハムなど1~3ユーロだ
ツアーメンバーと合流後、タホ川の南側の高台の展望台で写真タイム。
ここからはトレドの街が一望に見渡せる。 ここは私達が乗れなかった「ソコトレン」が写真撮影に立ち寄る場所だったので、ちょうどよかった。
バスはマドリードに到着。プラド美術館に入る。
前にはゴヤの像があり、東側の階段を上ると、美しい教会がある。 美術館内部は写真撮影禁止。エル・グレコ、ベラスケス、ゴヤの3大巨匠の絵がふんだんに展示されている。現地在住の日本人ガイドの方が詳しく説明してくれた。主な作品を見るだけでも2~3時間を要するといわれるところを1時間余りで駆け抜けるようにして観る。もったいないことだ。
マドリード、アトーチャ駅を通り、王宮、アムルデーナ大聖堂前のアルマス広場近くに到着。ただ大型バスを停めるところがなく、駐車違反にならない10分以内でバスに戻る約束で下車。 案の定1名が行方不明、添乗員を捜索に残しバスは発車、夕食のレストランに向かう。
バスはマードリードいちの繁華街、「プエルタ・デル・ソル」という広場で私達を降ろす。
日本でいえば渋谷・ハチ公前の雰囲気か?日曜と言う事もあるのか、広場は人であふれている。 私達は徒歩でレストランに向かう。
レストランの壁には闘牛で戦った牛の首が飾られ、その下には戦いの写真が・・・ 料理はタパス。今までで一番おいしかったように感じた。
スペイン最後のホテルは「マドリード マリオット アウディトリウム」。 デラックスグレードだけあってホテル全体が豪華、部屋も広く気持が良い。
6月10日~11日(第6~7日)マドリード→成田
ホテルの朝食も品数が多く豪華。 オムレツを焼いてもらって満足な朝食。
朝食後、空港に向かい10:00発のエールフランスでバリ経由で帰国。
今回、初めてのスペインと言う事でコストパーフォマンスを追求したせいか詰込み過ぎのツアーを選択した気がする。
8~10日ツアーが多い中で、ほぼ同じ訪問都市の7日間は忙しすぎ、実質の観光をしたのは4日間だった。それだけ見どころの多い国と言う事だが、サグラダファミリアやアルハンブラ宮殿、トレドなど多くを見れて良かったのだが、ともかく忙しい。 再び訪れるチャンスがあるならば、じっくり研究した上で都市を絞り、ゆっくりスペインを味わいたい。